◆回想◆

ひなは私が拾った猫です。

あー、あそこやなぁ

そうやわ、あそこで泣いてたんやわ・・・

ここから外を見てると、あん時のことを思い出すわ・・・

(←えらそーな態度!)

気がついたら、誰もいなくて、お腹がへって、寒くて、心細くて、1人で泣いてた・・・

そしたらお母さんが来て家に連れて帰ってくれたんやわ。

(←とてもかわいそうでした)

もうはっきりとは思い出せへんけど・・・

こうして家の中にいて、お腹がいっぱいで、お日様がぽかぽかと暖かいと・・・

幸せで・・・・・

(←拾ったときから片目)

眠うなってきたわ・・・

(←昔のことを覚えていないのはまず間違いない)

ひなを拾ったのは、夫が単身赴任している夏の夜でした。

夜中の二時頃に子猫の鳴き声で目を覚ましました。
裏の駐車場からミャぁあー、ミャぁああーと必死に助けを呼ぶ声が聞こえてきます。

その声はとても見過ごしておけないもので、
私は服を着替えて探しにいきました。

駐車場で見つけたのは、真っ黒で顔が砂だらけ、目も見えず(しかも片目はなく)
まだちゃんと立つこともできない子猫でした。

夜中に何度もミルクを飲ませ、濡れたティッシュでお尻を刺激してトイレをさせ、苦労して育てました。

今ではすっかり大きくなって、育て方が悪かったのか、もともとの性格なのか
すっかりちんぴら猫となって、家のなかで踏まれ屋をしています。

踏まれ屋というのは当たり屋みたいなもので、
人が通るところにわざと寝ころんで尻尾をほおりだしておき、
人がちょっと尻尾の端っこにでも触ろうものなら、
「踏んだ、踏んだ」と騒ぎ立てて、
なにかよこせというものです。

どこでそんなことを覚えたのだろう?


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